となりのJohnの気まぐれ

気の向くままに

【VR】VIVE XR EliteでPC VRをするまで


不具合と対処まとめ

ワイヤレス接続を試してみても自分の端末にコンピュータが表示されない。

もし端末が動作要件(Wi-Fi 5(802.11ac)またはWi-Fi 6/6E(802.11ax、5/6GHz))を満たしているなら、ファイアウォールで接続が妨げられている可能性がある。

912エラーでPCVRが立ち上がらない。

セキュリティソフトでTCP: 7554, 7654 UDP: 9009, 6970~6977のポートを開放してみる。

メガネ型のとき、輝度が落ちる。

給電が十分なUSBケーブルを使用する。

PCVRの画質が悪い。

VIVE Streaming Hubのグラフィック設定を「自動」から「ウルトラ」に設定する。

ワイヤレス接続で画像にノイズが乗っているように見える。

VIVE Streaming HubのダイナミックビットレートをOFFにし、TCPモードをONにする。

はじめに

 久しぶりにブログを更新する。最近はVRゲームを嗜むことが多く、その流れでVIVE XR Eliteを手に入れることになった。しかし、このXR Eliteは2023/04現在なかなかにクセのあるHMDなので、ブログの記事としてまとめようと思う。

VIVE XR Eliteを手に入れた

 私はセールで手に入れたVIVE CosmosをHMDとして使い続けてきた。
www.vive.com
 Cosmosはトラッキング精度に難があるHMDである。フライトシミュレータを楽しみたいという動機で導入し、当初は精度を気にしていなかったのであるが、VRゲームに手を出していくうちにそのトラッキング精度がいよいよ気になり始めてきた。特にBeatSaberなどをプレイする際に、インサイドアウトでLEDの模様を認識することでトラッキングするCosmosは非常にシビアである。そこで、タイミングよくリリースのアナウンスのあったVIVE XR Eliteに手を出すことにした。
www.vive.com

まいにゅーぎあ

 仕様によると、軽さやトラッキング精度の良さはCosmosとは比較にならないほど素晴らしいものである。
 VIVE XR EliteはVIVE社の最新のハイエンドHMDである。HPからもその力の入れようが伝わってくるHMDなのであるが、VRゲームをプレイする私にとって特に次の特長が刺さった。

軽量。後頭部のバッテリを外すことでさらに軽くできる

 通常HMDは前頭部にレンズを備えるので、頬に負担をかける。対してVIVE XR Eliteは前頭部を薄くすることに成功しており、顔面に負担をかけない設計となっているのである。VIVEはスタンドアロンでも動作するHMDなのであるが、加えてバッテリを外して電源に接続することでメガネ型としても動作するというのである。購入するほかない

ラッキング良好

 私のCosmosについての不満はトラッキング精度の悪さである。Cosmosが搭載するカメラはパススルーで確認する限り非常に解像度が低く、コントローラのLEDパターンをトラッキングに使用するCosmosでは致命的である。一方のXR Eliteでは、カメラの解像度に期待できるだけでなく、そのコントローラはLEDのパターンでトラッキングするものではないようなので精度の向上が期待できる。購入するほかない

ワイヤレス接続が可能

 XR Eliteはその名の通りXRデバイスであるが、HMDとしても利用可能である。しかも有線だけでなく無線も可能という。購入するほかない

 以上のように購入を迷うことはなかった。そのほかVIVE XR Eliteの特長の詳細は他に譲る。

そして迫るワイヤレス接続の壁

 さて、いよいよスタンドアロンの本体の設定が終わったところでPCVRの接続をしようとしたときのことである。接続方法が不明なのである。
 XR Eliteには明らかに充電用と思われるType C-Type Cケーブル *1、Type A-Type Cケーブル *2が付属する。いずれも3.0ではない。そこでよく見てみると、サイトには以下のようにある。

システム要件:USBポート(USB 3.0以上推奨)×1およびWi-Fi 5(802.11ac)またはWi-Fi 6/6E(802.11ax、5/6GHz)。
詳細は、 VIVEストリーミング対応 でご確認ください

VIVE XR Eliteを使い始める | VIVE 日本
 罠である。少なくともUSB 3.0-Type Cでつなげるケーブル(有線接続用)と、通信環境を用意する必要があった。急いでAmazonでUSB 3.0-Type Cなケーブルと、Wifi 6E対応ルータをポチる。

 ルータを新調し、VIVE Streaming Hubを立ち上げる。そしてウキウキといざ接続を試みたところ以下のように何も表示されないのである。またもや罠である。

一向に表示されない我がPC

 そこで調べてみたところ、以下のようにファイアウォールが邪魔することがあるらしいことが分かった。
forum.htc.com
 ファイアウォールを無効化してしまうのは結構なリスクであるように感じる。本来であればアプリケーションをホワイトリストにいれていくと良さそうなのであるが、現在のところどのアプリケーションが影響しているかが不明なので、お試しの名目でファイアウォールを切ってみるとつながった。

つながった!

 しかしこれでうまくいかないのがXR Eliteなのである。
 いよいよPCVRが楽しめるか?というところで次の関門なのである。

ワイヤレス接続成功後の驚き

 驚き、というのはポジティブに感じられるかもしれないがこの場合はネガティブな意味である。
 いざつないでみるとStream VRとStreaming Hubの相性が悪いのか、912エラーで起動できないのである。
 公式のページによるとUSBの抜き差しくらいしか回答のないエラーであるが、海外でも困っている人はいるようだ。
www.reddit.com
 私の場合は上記ページを参考に必要なポート(TCP: 7554, 7654 UDP: 9009, 6970~6977)の開放でつながるようになった。esetを使用しているので、設定手順を参考にポートを開ける。
macha795.com

プロトコルの設定-1
プロトコルの設定-2

 すると、何事もなかったかのようにPCVRが立ち上がった…!しかし驚くのはまだ早い(後述)。

有線接続の躓き

 ワイヤレス接続での驚きの前に有線接続に触れる。私はルータ購入時にAmazonでUSBケーブルも購入していたのであるが、これがまた曲者であった。
 基本的にAmazonの電気機器の質は怖いのであるが背に腹は代えられない。
 安定感のあるバッテリークレードル(後頭部に装着するバッテリー)を付けたXR EliteにUSB接続したところ特に問題はない。いよいよ安定してファイアウォールを無効化することなくXR Eliteが楽しめるか?といったタイミングで、あることに気が付いてしまった。

おや?
おわかりいただけただろうか…?

 USB接続をしているのにバッテリーが減っているのである。
 考えてみるとデータ伝送をして、かつ給電してというのはかなり無理のある話である。明らかに給電が足りていないのである。
 バッテリークレードルを外してお試しするとその傾向は顕著にでる。なんと輝度が下がるのである。バッテリーの減りも早い。

メガネ型のときはバッテリは常に100%であってほしいが…
確実に下がっている。

 スクリーンショットではわかりづらいものの、メガネ型のときは輝度も下がっている。これではUSBケーブルでの接続は使い物にならない。
 そこでAmazonで給電できるUSBケーブルをポチる。

 これをUSB接続したところ、確かに輝度の問題は解決した。が、相変わらずバッテリが減るのには変わりがなく、その速度が遅くなっただけのようである…。じつはバッテリが減少する現象はワイヤレス接続+モバイルバッテリー経由でも見えている。給電自体はできているので、こういう仕様として付き合っていく必要がありそうである。

【2023/04/10 追記】
 下記記事によると、本体の給電には5V/3A 9V/2A, 12V/1.5A必要らしい。
 PD必須とのこと。
note.com
 よく見ると説明書にも上記記載がある。説明書をよく読む必要があったようである。


驚きの画質

 さて、いよいよワイヤレス接続の成功で私が驚いたことについて触れる。この現象は有線接続でも共通の現象であった。
 実はXR Elite、デフォルトの設定でPCVRをストリーミングするとHMDの画質がすこぶる悪いのである。

スクリーンショットからはわからないのがもどかしい

 スタンドアロンなXR Eliteは、その謳い文句通り片目1920*1920出てそうである。すると、犯人はSteamVRということになると思われる。
www.vive.com
 いつもトラブルの種となるStreamVRだが、今回はそうではなく犯人はVIVE Streaming Hubであった。
 実はVIVE Streaming Hub、グラフィック設定項目があるのである。

デフォルトでウルトラにしてほしい

 デフォルトの場合、このグラフィック設定は「自動」が選ばれている状態になっているのである。他HMDと同様な画質を楽しむ場合、通常時と同様の画質にするにはここを「ウルトラ」に設定する必要があった。
 また、ワイヤレス接続の場合ノイズが映像にのることがあるので、設定項目ではダイナミックビットレートをOFFに、TCPモードをONにするのがよいらしい。
www.reddit.com
 この画質を上げるための設定がバッテリの減少に影響している可能性はもちろんあるが、画質を落としてはVRの魅力が半減してしまうのである…。

最終的なVR体験と感想

 ここまでの設定を終えて初めてPCVRが楽しめる段階になる。バッテリの減少問題は仕方ない。モバイルバッテリーを背負い、逐次コントローラやHMDを充電しつつPCVRを楽しむ。

 バッテリが減るといえども、当分は楽しむことができた。が、想定外の事態として3時間ほど装着していると額に痛みが出てきた。XR Eliteは額と後頭部で支える設計になっているので、特に固い芯材が使用されている額側が皮膚を圧迫している状態が続くのである。バッテリを気にしなくとも物理的に外したくなる仕様となっているようである。補助のストラップが説明も特になく同梱されているのであるが、それを使用する必要がありそうである。

 HW自体のモノはよいのであるが、現在公式の説明不足も含めソフト面で弱い製品である。USBケーブルくらい入っててもよかったのであるが、ワイヤレス接続が基本で、給電ケーブルで察してほしいということだったのだろうか。HWに常に付きまとう「いまは時期が悪い」という言葉が頭をよぎる。
 手間のかかったものの、Cosmosと比べて重さやトラッキング精度が向上しているので、設定さえしてしまえば全体的には良い買い物だったと思う。