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【ネタバレありの感想】シン・エヴァを観た

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率直な感想

面白かった(小並感).
正直なところ農村パートだけでお腹いっぱい.私にとっては戦闘シーンや細かい設定はあまり着目するところではなかった.当初三部作で3.0+1.0の1.0はこの農村パートだったのか?と思うほど.実際にはシナリオの方針が定まっていなかったりなんだろうけど.

観劇前に私が着目していたところと実際

私はセカイ系の祖であるとも言える本シリーズがどのような落としどころを見つけるのかに注目していた.

セカイ系 - Wikipedia

いわゆるセカイ系では,ある種視聴者層に似た主人公が世界の困難に直面する.その困難に直面した主人公は,主に他の限られたメンバーと困難を解決していく.ある種現実逃避的な側面をもつ非現実は視聴者にとって刺激的だ.旧劇版のある種の主張は,乱暴に視聴者に現実を直視することを強いる.が,皮肉なことに現実逃避のためのモノとしての位置づけのイメージが世間には非常に強く残ってしまった.
しかし本作はこれに対して健全なもので,世界や社会が全く出てこない作品からの脱却を目指した.主人公シンジを始めとしたキャラクターたちは,自立し成長した.

農村パート冒頭のシンジの状況は,一部のファンにとっては辛いシーンとなったように思える.自分の殻に閉じこもったとしても時間は無情にも流れ続ける.知らない間に記憶の中のコミュニティは全く変わり切っていて,自分だけがただ時間が止まっていて取り残されていく感覚.旧劇からの相変わらずの観客への煽りである.

が,今作は救済がある.本作は「いまが人生で一番若い」ことを意識し行動するよう問いかけるのである.シンジの場合,他者を意識し行動することで成長することができた.

もちろん,本作は救済のための具体的な方法を手取り足取り教えてくれるわけではない.あくまでもヒントだけ.ところで,現実の社会はどうだろう?他者の救いはあるのだろうか?現実は冷酷である.しかし見つけ出し行動するしか手段はないのである.これがつらいのである.

私の考えるテーマ

私が見ている中で感じたテーマは,「再生」だ.
シンジやマリは,最後には"呪縛"でありレールであるエヴァから自ら離れていく.それはもうシリーズには携わらないという監督の強い意志とともに,ある種”一時停止”しているともとれる,記憶の中に刻み込まれたエヴァからの独立,現実への復帰を観客に促す.

こうした「再生」は冒頭,第三村に象徴されるゼロからの復活や妊娠したネコや妊婦がやたらと目立つ時点で方向性が明示されていた.
しかし相手はエヴァだ.気が抜けなかったのも事実である.

私とエヴァ

私は26年もの間エヴァを観てきたわけではなく,1年ほど前からアニメ版,旧劇場版,新劇場版,そして考察を観まくってきたニワカ人間だ.しかしそうした人間でも十分に楽しめるのがすごいところである.ちょうど興奮や記憶落ち着いた中でのシン・エヴァで,"オトク"な形での観劇だったのかもしれないが.

そもそも人類補完計画のクライマックスという点で共通するので当たり前かもしれないが,旧劇にはこんな言葉があった.

生は、死の始まり。死は、現実の続き。そして再生は、夢の終わり。
綾波レイシト新生

まさしく本作の主張といえる.

括り

私はあまり映画館に足を運ばないが,後日Netflix配信される映画を観て「公開当時に観れていれば良かった」と後悔することがある.
本作のような映画を,公開中に観れて良かった.
他の人の考察などを読んで,改めてシン・エヴァを観るために劇場に足を運びたいとも思った.

私の中の「エヴァの呪縛」はなお強い.